ユーザー不在のクルマ開発
トヨタ、ホンダ、日産に個性がない訳ではないが、大手のブランドの個性的なクルマとは、例えばセンチュリー、NSX、GT-Rといったハイエンドなモデルが多く、これらをどうやって売るか!?にしか関心がないようだ。300万円くらいのクルマに洗練されたデザインなんて考えてすらいない。プリウスのようにグローバルで拡販するためにMAZDA3の成功をなぞることはあっても、国内市場向けの平凡なモデルを同じテイストでは作らない。
アルファードよりもずっとクールなデザインの新型シエンタが完成してしまっては、マーケティングに悪影響でしかない。どっかの海外カーメディアに、MAZDAで一番クールなのはCX-3で、一番ダサいのはCX-60だとか言われてしまうようなことはトヨタ、ホンダ、日産では起こらない。スカイラインNISMOを作ってもGT-Rよりクールな意匠はつけられない。アコードより伸びやかなシビックも作れない。
失敗は成功の素
MAZDAも北米市場でFRシャシーモデルが好調なようで、SUV以外にもラインナップ拡充が噂されている。ブランド内で高価格帯のモデルが増えてくれば、いずれはトヨタ、ホンダ、日産のように低価格モデルは個性を失っていくかもしれない。しかし伝説級のバブル崩壊後の大苦戦を経験したMAZDAならば、トヨタと同じ拡販路線にはMAZDAの未来はないと十分にわかるはずだ。あの大失敗から大いに学び、今ではどこのメーカーよりもMAZDAの戦略は冴えわたっているように思う。
世界中に自動車ユーザーがいる。時代に変化と共に西欧やアメリカなどの自動車工業先進地域から、韓国、中国、インド、東欧などの新興地域へと自動車開発の現場は移りつつある。既存メーカーに加え、新興国のマヒンドラ、タタ、プロトン、吉利汽車、広州汽車などが欧州や北米市場にまで進出。さらにEVスタートアップや、SUV&オフローダー専門ブランドなどが次々と生まれている。その中には1つくらいMAZDAよりこだわってクルマを作る総合メーカーがあっても良いと思うが・・・。