プレミアムブランドの現実路線
レクサス、メルセデス、BMW、アウディ、ジャガー、ボルボなどが、日本ではプレミアムカーを専門に扱うブランドとして認知されている。トヨタ、ホンダ、日産、三菱、スズキなど世界のあらゆる自動車市場にも参入できる見事なコスト柔軟性を持つ「大衆車ブランド」とは違って「プレミアムブランド」は経済発展が乏しく貧困が健在するような低所得な国や地域では展開できない。
日本でも「プレミアムブランド」の販売地域には偏りがあり、県内にレクサス、メルセデス、BMWがそれぞれ1店舗しかないところも多い。その逆に狭い東京都にはそれぞれ30以上のディーラーがひしめいている。人口比以上に東京などの大都市部に偏在している。東京都はクルマの保有比率は都道府県別で最低であり、平均の約半分だというのに・・・。
高所得地域のリアル
東京に限った話ではなく、世界中でも人口が集中する都市部ばかりに、多くの雇用が集まるわけで、ロンドン、シンガポール、香港、北京などなど、個人のクルマ所有を制限する過激な制度が用意されていたりする。特に旧来のエンジン車への規制は苛烈極まる。メルセデス、ジャガー、レクサスなどがかなり性急に「オールBEV化」を表明したのも、高所得者が住む地域の世界的な変化に追従した結果と言える。
港区、中央区、千代田区、渋谷区など東京都の中心部でも、月極駐車場は高騰し、コインパーキングもしばしばボッタクリと表現される。20分/300円なんてまだ良心的な部類である。そこまで家賃が高くない周辺部(墨田区、豊島区、中野区など)になると、人口密度は中心部よりも上がり世界最高レベルの20000人/平方kmに達する。単身世帯の割合も全国でトップクラスだけど、ここで福井県並みの一世帯当たり1.7台の保有率だったらもはや道路は機能しない。