軽薄な議論をなじる
「EV推進の罠」を読んで一番気になったことは、日本のトップレベルのカーメディア人が、中国の自国産業保護政策に対して遠慮なく「アンフェア」だと書いている点だ。これを中国の人が読んだらどう思うだろうか?日本人は60年前に自国でやっていた自動車行政すらわかっていないのか・・・と鼻で笑われるだろう。「読者をナメるな!!」と自分のブログでブチキレ読書感想文を上奏したところ、池田さんから怒りのレス投稿があってちょっと焦った・・・。
日本のカーメディアが全部ダメだとは思わない。牧野茂雄さんや福野礼一郎さんならこんな偽善的な煽りレビューは絶対に書かないだろう。メディア露出が多い池田さんのレビューもこの一件以降は安易に中国を揶揄するような説明はなくなったように思う。EVシフトが生み出した議論の「分断」も、次第に理解が進んでいくとは思うが、「EV推進の罠」は安倍政権のプロパガンダとして出すスピードを重視したゆえに起こったハードランディング(黒歴史)だったと思う。
インフラとしてのBEV対応
メルセデス、レクサス、ジャガー、ホンダがエンジンを使うクルマを2025年以降は順次廃止していくという方針も、高価なクルマが売れる資本主義の震源地で何が起こっているかを考えれば、安易に否定できるものではない。私自身も少なからず思い当たる節はあるけど、日本人による「日本が自動車産業の中心」という幻想を一度取り払わないと、BEVに全振りするメーカーの方針はかなり過激に感じてしまう。当たり前のことだけど、高級車作りの本質とは、「付加価値の先行者利益」を追求することに他ならない。
北米、欧州、東アジア、東南アジア、オセアニアなどの高級車市場ではいずれも、ミクロな動きとしてBEVの個人運用はそれほどの負荷なく可能なレベルになっている。BEVの普及率が社会工学・都市工学で優先課題とされているサスティナブル性の指標になるかどうかはわからないけども、そこに住んでいるユーザーに多様なクルマ所有を可能にさせるという意味で、その地域に特別な価値を生むことは間違いない。ネットがつながっていない地域に普遍的な価値が生まれるだろうか!?
CARDRIVEGOGO「カーメディアにひと言・・・」: 「EV推進の罠」の読書感想文を書いたら、著者の一人にボコボコにされた・・・ https://t.co/jzCdshYdeJ
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) November 18, 2023