CVTは暴走したくなる?
ヤリス&ヤリスクロスは、価格・燃費・エンジンパワーに優れているし、さらに以前のトヨタの同クラスモデルよりも道路の継ぎ目で大きなショックがあるのは、ボデー剛性が数段レベルアップした結果だという判断も可能だ。実際にヤリスの「わ」ナンバーのユーザーは、何かに追われるように、高規格道路(バイパス)でリスキーに飛ばしているのを見かける。
実測した訳ではないけど、MAZDA2の「わ」ナンバーのユーザーはヤリスのユーザーよりもスピードは控えめだ。考えられる理由としては、ミッションの違いだろうか。トヨタが使うCVTは踏み始めから簡単にトルクが立ち上がり、小気味良い出足が好印象であるが、これが30km/hくらいに達するとアクセルと加速のリニア感が一気に損なわれる。その後の中間加速ではまるで別のクルマになったように加速は冴えなくなる。
決定的な差がある
それに対してMAZDA2のトルコンATは、出足こそCVTに比べてのんびりしたフィールであるが、20km/h、30km/h、40km/h、50km/hと車速を上げていっても、ギアが変わらない限りは一定の踏み応えがあって、クルマの加速モーメントとアクセルに直感的な相関関係が存在していて気持ち良いと感じる。これが前述のCVTだと中速域では一定の踏み応えはなくなる。トルコンATやDCTだと「板」を踏む感じだけど、CVTだと「ゲル素材」を踏んでる感じ。ラバーバンドフィールって奴です。
踏み応えが続くトルコンATでは、右足からある種の緊張感が伝わってくる。これを踏み抜いたら、それに比例する出力でクルマが弾けることが容易にわかる。しかしCVTではいくら踏んでも30km/h過ぎからは踏み込む量から考えたらはるかに少なくてジワジワしか加速しない。だから前方に余裕がある区間ではヤリスの「わ」ナンバーはここぞとばかりに加速を引き出そうとする。一方でMAZDA2はいつでも鋭く加速するので慌てて走る必要もない。