MAZDAの変節
「セダンはマツダが変える!!」「SUVはマツダが変える!!」と力強く宣言していた頃から10年が経過した。MAZDA2は日本メーカーのBセグの頂点という評価を得ているが、世界的なディーゼルエンジンへの逆風を喰らい、株価も乱高下して中長期的計画も株主総会の度に小変更が加えられた。2024年のラインナップは、設計年代から言えば最古参となるロードスターやMAZDA2の改良によって話題作りしているとは、10年前の「魂動」ブレイクの時期には予想もできなかった。
意志を貫いて投入したCX-60の成功は素晴らしいけども、北米のCX-70、CX-90は3.3Lガソリンターボが主力なのに対して、日本市場では車重の重いクルマはディーゼルが基本になる地域別戦略がやや残念だ。日本のユーザーにとっては、スポーツブランド・MAZDAを象徴するような自然吸気エンジンとミッションの絶妙な組み合わせをカーライフで堪能したいならば、車重が軽いロードスターやMAZDA2がベストというメーカーの戦略とはやや相反する指向性が顕在化している。
クルマ作りが上手過ぎる
世界で一番売れている2シーターオープンスポーツカーを作りながらも、上級SUVにおいてもアメリカで大成功しつつある。スポーツカーを作らせてもSUVを作らせても世界トップクラスに上手くできる。あまりの器用さゆえに、捨てられない2つの価値観がブランド内で両立している。さらに今後はスーパースポーツをラインナップに加えていく方針らしい。
BMWが大好きなユーザーがディーゼルのX5と、2シリーズクーペを両方所有するように、MAZDAにこだわるユーザーもCX-60とロードスターという幸せの2台持ちをカーライフの前提として考えざるを得ない。価格こそ大きく違うけども、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなどがスポーツカーのユーザーのためにSUVタイプのモデルを用意するのと同じようなステージに近づいている。