ポルシェがトヨタに学ぶ
90年代に倒産の危機を迎えていたポルシェは、トヨタに出向いて経営管理の方法を直接教えてもらったという逸話がある。トヨタ流のクルマ作りが浸透したのかわからないけども、911は3世代前(996系)から空冷エンジンを放棄して、水冷化するととともに、さらなるスポーツカーの量販化を求めて開発された986系初代ボクスターとの部品共通化が図られた。
996系で水冷化&コモディティ化され、997系ではピュアスポーツからグランドツアラーへと方針転換し、公道で完結できるクルマに変わった。さらに次の991系では、後期モデルからベースモデルのエンジンが一斉にターボ化された。現行の992系では、ラグジュアリーブランドのグランドツアラーに質感が負けないように、996系以来のコスト削減路線から大きく転換してきた。
世代の格差
水冷化された後の911は各世代でそれぞれに個性があるので、その世代のコンセプトが合ったものを選べばいい。いくら販売側が「最新のポルシェが最善のポルシェ」と主張したところで、各世代でコロコロと変更を加えているので詭弁でしかない。中古車実勢価格は996系(1997年〜)が300万円、997系(2004年〜)が500万円、991系(2011年〜)が800万円、992系(2018年〜)は1800万円くらいで、そこそこの状態のベースグレードが選べる。
996と992ではベースグレードの新車価格が2倍くらい違う。1ドル80円という時代もあって、その頃と比べると日本円の価値は半顔しているから値上げは妥当なのかもしれないが、現行992系の中古車人気は相当なもので、ベースモデルの新車価格を下回るものはまず見当たらない。年内に992系後期モデルの発表があるらしいが、あと1年くらいは日本では新車の911がオーダーができない状態が続くようなので、ちょうど高騰するタイミングなのだろうけど。