991系以降のポルシェは・・・
GT-Rはともかく、911のベースグレードは300ps台の出力であるから、特殊な販売方法を使う必要なないように思う。しかし同じモデルの上位グレードと下位グレードで販売手法が違うのはブランドにとって都合が悪いのだろう。オプションをたくさん付けてもらって単価を上げるビジネスモデルなので、上級モデルが売ないと都合が悪いのだろう。アストンマーティン、マセラティ、ジャガーといった生産を限定するブランドと対峙したことで、ポルシェも完全にラグジュアリーブランドの売り方になってしまった。
1997年から996系911と986系ボクスターの二本立てになったスポーツカーの構成は、RX7とロードスターの2グレード体制だった同時期のMAZDAと同じ手法である。RX7は2002年で生産が終了し、後継モデルのRX8も2012年で廃止となった。これも911が変容する一つのきっかけだったかもしれない。ポルシェ、日産、MAZDAの3ブランドが北米市場でせめぎ合ってお互いに影響を与えていた関係が、MAZDAのロータリースポーツの廃止によって勢力図が変わってしまった。
スポーツカーの格差社会
MAZDAが2013年以降もロータリースポーツの販売を継続して、280psから300ps、400psと911の性能をキャッチアップしていたら、スポーツカーの高級化にある程度は歯止めがかかったかもしれない。RX8の販売終了と前後して、スバルとトヨタが合弁で新しいスポーツカーを作ったけども、その86とBRZの開発ターゲットは987系ケイマンだそうで、価格帯もスペックも911に直接的に影響を与えるものではなかった。
2007年の日産GT-Rと、2011年の991系へのFMCによって、スポーツカーのユーザー層が大きく変わってしまった。ルノー日産とVWグループが新興国市場の拡大するニーズに応えるために、それぞれにフルラインナップを揃えたという同じ理由によるものだ。その空いた市場を埋めたのが86&BRZであり、MAZDAロードスターも2015年に現行モデルとなってから販売に勢いがついている。スポーツカーにとって棲み分けは大事ではあるが・・・。