MAZDAの進化は1.5L車に宿る
1.5LのNAを搭載するCセグハッチバックというスペックだけ見れば、20年前と大きな変化はないように感じてしまう。しかし20年前の100psそこそこのCセグでは、山岳を越える隘路を走るのはかなり億劫だった。そのイメージのままでパワーウエイトレシオや車体サイズがほとんど変わらない今のCセグに乗ると、目から鱗が落ちる想いだ。エンジンスペックはほとんど変わらず車重はやや増えているのにも関わらず、この20年で大きな進化を遂げている。
おそらく読みながらツッコミを入れている人もいるだろう。確かにクルマが良くなったのではなくて、道が良くなったのが主な理由かもしれない。関東山地を越える6つの国道(R413、R139、R411、R140、R299、R254)は、絶えず路面改良工事が続けられてきた。特にR139(奥多摩・大月)は松姫トンネルの開通など、20年前とはまるで別の道路だ。
MAZDAらしさ=こだわり
20年前と同じスペックで、価格は50万円以上上がって220万円スタートになったMAZDA3ファストバックだけども、スペック表には示されない進化がとても大きい。特に2ペダルのトランスミッションは熟成が進み、MTを選ばなくてもダイレクトなフィールが確保され、特に低回転域を直結させるロックアップが効いている。
VWやBMWが特筆するスペックでもないのに、ボデーの剛性と駆動系がスムーズに回る低フリクションで精度の高い設計で気持ちよく走れるフィールで支持を得ている。アクセラからMAZDA3への4世代の進化で、この領域に近づいた。実際のところ、エンジン、サスペンション、ステアリング、トランスミッションの4つの変化が出やすいパラメータで比べると、とりあえずトランスミッションに関してはBMWやVWよりも先行している。