自動車産業を変える大成果
過去の「RX-VISION」「VISION-COUPE」「ICONIC-SP」がいずれもパワーユニットについての詳細が語られなかった。しかし今回の「VISION X-COUPE」は技術的にロータリー駆動の復活に目処が付いたようだ。あまりのスケール感に、カーメディアは「言葉を無くしている」。欧州市場を強く意識してPHEVとなっている。トヨタの為にHEVの販売を許可するのは癪だろうけど、MAZDAがこんなにすごいHEVを作るのだから、欧州の意見も変わりそうだ。
どこのメーカーにもあるマイルドハイブリッドや、協業しているトヨタからTHSを借りればいい(過去にアクセラで実現した)という安易な選択では、MAZDAのやりたいことや存在意義を十分に表現できないのだろう。ロータリーと組み合わせた電動ユニット(MAZDAのHEV)は、2027年登場のスカイアクティブZ(2.5Lの直4)や、北米などで販売されている直6ガソリン(3.3L)とも組み合わされて、ロードカーからSUVまで幅広く応用されるのだろう。
欧州の扉を再びこじ開ける
ジャパン・モビリティショー2025では、「VISION X-COMPACT」も公開された。こちらはパワーユニットに関する公表はないが、MAZDA2の後継モデルを想定していると思われる。ワイドで全長を詰めたスタイリングは、MINIをイメージさせる。ステランティスがアルファロメオ、プジョー、DS、フィアット、ジープ、シトロエン、ランチア、オペルの8ブランドで使い倒すコンパクトカー規格に相当する欧州市場向けコンパクトカーであることは確かだ。
Bセグの廃止も噂されていたMAZDAだけども、自社開発の後継モデルが存在することは朗報だ。国内のMAZDAディーラーでダイハツOEMのルーミーやライズが売られる地獄のような光景は回避されそうだし、トヨタ・ヤリスのOEMに置き換わることもなさそうだ。運転していて死ぬほど退屈なトヨタ車はMAZDAブランドには似合わない。欧州市場の現行MAZDA2は現地調達の都合だから仕方ないが、近年の欧州市場での苦戦は自社開発Bセグの不在が大きい。