大胆な戦略
2台のコンセプトカーによって、2030年までのMAZDAの新車投入計画は、かなりハッキリしたものになってきた。様々な制約がある中でも、ほぼほぼ妥協なく、MAZDAに期待されているクルマを次々と市販化するべく、さまざまな技術的課題に取り組んできた成果が具現化した。日経新聞やカーメディアの報道を見ていると、世界にはトヨタ、BYD、テスラの3社しか無いかのようだが、この3社では得られない特別な魅力がMAZDAのクルマには確かにある。
直近の決算でも赤字となったが、外部的要因なのは明らかで、すでに2002年と2012年の2度の危機的状況を圧倒的な商品力で打開してきた実績もある。2027年からの巻き返しに向けて、今回のジャパン・モビリティショーで手の内を全て見せてきた。2002年にアテンザとRX8で欧州市場の主役へと駆け上がったMAZDAを彷彿させる。「X-COUPE」と以前に発表済みの「ICONIC・SP」の2台は、欧州市場のユーザーが待ち望むグランドツアラーとピュアスポーツを届ける意思を感じる。
完全な妄想
「MAZDAのネームバリューで十分な販売ができるのか?」という声もあるだろうが、実際にやってみないとわからない。クルマのクオリティは問題ないとして、もし思ったほど売れなかったら、ジャガー、ノーブル、TVRのような欧州スポーツカー・ブランドへのOEMに切り替えるなどの奇想天外な作戦もあり得る。これだけ強気な商品開発をしてくるのだから、もしかしたら水面下では企画力不足に直面しているフォードとの電撃復縁が用意されているかもしれない。
フォードとMAZDAの協業で2000年前後にはプラットフォームの統一もあった。当時のMAZDAはサスペンションへのこだわりが強く、フォードに4輪独立懸架が持ち込まれると、1998年に登場したフォード・フォーカスが、欧州王者VWゴルフ(4代目)を叩き潰した。フォードのエンジニアと技術を調達したVWが5代目VWゴルフで大きな進化を見せるも、初代アクセラの登場と重なり、欧州COTYでは2台を同点として確執劇を煽った。