スモールプレーヤーの時代が来た!?
2020年頃に締結されたフォードとVWのEV協業が破綻した。リーマンショック以前は、前述のように欧州市場の二大勢力であり、グループ販売台数でもトヨタと肩を並べる存在だった。その後トヨタの躍進や、VWの不正事件などがあり、主導権回復のための協業だったが、どこかホンダと日産の破談に似ている。日産の役員の数が批判されたりしているが、どこのメーカーも少なからず大企業病はあるのだろう。
MAZDAの絶え間ないチャレンジャースピリッツは、小規模ゆえに維持されていることが、ほぼほぼ証明されてしまった。BYDに抜かれた日産は、ちょっといじけてしまったようで、200万台規模に販売を落として個性的なクルマ作りを目指すと宣言している。メルセデスやBMWのようなプレミアム路線にふさわしい高品質なクルマ作りへとシフトするのだろう。狙い通りに競争力を高められれば、レクサスやトヨタの高価格帯のモデルに痛烈な打撃を与えるかもしれない。
トヨタと同じ市場で余裕で戦える
1000万台のトヨタと全く同じ市場で100万台のMAZDAは結果を残してきた。北米撤退のスズキ、北米一本足のスバルと違い、欧州、北米、豪州、NZといった高所得市場を一つも捨てることなく、内燃機関のクルマだけでトヨタと競合してきた。クルマの作りがトヨタとは決定的に違っていて、(MAZDAの尺度で見れば)絶対に優れているという確信を持って、各市場で存在感を示した。
自動車メーカーとしては奇跡的な存在になりつつあるが、やはり2000年代のフォード傘下の頃が、MAZDAの世界的な注目度はより高かったように思う。初代アテンザが世界中のCOTYを100以上受賞し、BMW3シリーズやアコードを超える新たなスターとなり、MZRエンジンが英国のコーチビルダーのスポーツカーで広く搭載されて、それと同じショートストロークのレスポンス重視型エンジンがスライドドアのプレマシーに収まっているほどクレイジーなMAZDAだった。