ステランティスの逆襲
BEVを増やしながらも、エンジン車も継続して綱渡りの経営を模索するドイツメーカーにとって、貴重な開発資源は将来性があるジャンルに集中投下する必要がある。日産が英国工場をジュークに割り当て、トヨタがトルコの拠点でC-HRを作るなど、すでにビジネスとしてはレッドオーシャン(過当競争)かもしれないが、関税リスクを抱えるアメリカ市場が中心となるミドルSUVの量産に欧州メーカーは二の足を踏む中で、「10年後」が見えるジャンルであることは間違いない。
BEVの並行生産を行うに当たって、ミドルSUVよりバッテリー容量を下げることが可能で、車重も2000kg以上という乗用車の物理法則を破壊する重量にもならない。ミドルSUVのBEV化でドイツメーカーが深刻な経営危機に直面しているのを、世界中の自動車メーカーは観測してきた。ステランティス、ルノー&アルピーヌ、MAZDA(自社開発モデル)はコンパクトSUVからのBEV化を決断していて、このジャンルで主導権を取るため今後も話題性の高いモデルを模索するだろう。
VW・第2のプレミアムブランド
トヨタ&レクサス、日産、ステランティス、ルノー&アルピーヌに対して、欧州最大勢力のVWグループ(VW、アウディ、シュコダ、セアト、クプラ)も体制を整えつつある。アウディは完全BEV化の方針を撤回しておらず、エンジン車好きの選択肢から離れつつあるが、アウディの2.5L直列5気筒(390ps)を受け継ぎ、BEV、PHEVだけでなくハイパワーなICEもラインナップする「クプラ」が日本市場にも正式導入されるような気がする。
トヨタにレクサス、GRが、ルノーにアルピーヌが、ステランティスにアルファロメオ、アバルトがあるのに対して、VWはアウディ、クプラを用意した。VWも今後はゴルフRなどに2.5L直5ターボを搭載するとしており、二代目T-ROCにも直5の「R」になる。トヨタの優秀過ぎる先読みマーケティングによって欧州で大ヒットモデルとなったレクサスLBX(北米未導入)で、欧州メーカーの目を惹きつけ、本国にあるMORIZO・RRも他社の開発に影響を与えそうだ。