SUV とセダンの立場が逆転
MAZDA6と同じようなカテゴリーのクルマで。BMW5シリーズ、メルセデスCクラス、トヨタ・カムリ、レクサスES、スバル・レガシィなどが「TSPプラス」を得られていない。Dセグセダンの安全神話は過去のものになった。ホンダ・アコードが獲得しているのだから、MAZDA6を本気でフルモデルチェンジすれば「TPSプラス」を取れるとは思うが、販売台数から見れば不相応にコストがかかり開発費が上昇する。最終世代となったMAZDA6の横置きエンジンを改良するのも大変なのに、縦置き6気筒のFRになれば最初からやり直しになる
実際に縦置きエンジンを使うCクラス、レガシイ、BMW5シリーズ、レクサスISなどが苦戦している。「スモールオーバーラップ」の対策こそできているが、運転者保護の諸項目に引っかかるものが出てくる。やはりエンジンやミッションがコクピットの近くに位置するので、衝突時には危険なまでに圧迫する構造になってしまうようだ。テスト結果から安直に推測すると、CX-90のようにサイズに余裕のあるSUVの方が、運転者保護の対策は容易にできるのだろう。他社のSUVも「TSPプラス」のものが増えている。
やっぱり次期はBEVか?
「VISION COUPE」やスポーツカーコンセプトの「ICONIC SP」のような市販未定のコンセプトモデルならば、デザイナーが我儘にスタイルを決められるけども、MAZDAの開発者が本音をこぼしているように「市販化するには衝突安全基準に適合させるために課題が山積み」という状況が、次期MAZDA6の開発においても横たわっていると思われる。ちょっと失礼な言い方だけど、ホンダ・アコードのようなコンサバなデザインなら市販化できるけども、MAZDAのエモーショナルなブランドコンセプトにはそぐわないのだろう。
これまでのブランド展開を見てもMAZDAは、「感情が沸き立つデザイン」と「最高レベルの衝突安全」には絶対に妥協しない。現状では次期MAZDA6は発売できないけども、何らかのブレークスルーによって、デザイン、衝突安全性、サイズ、コストの諸要素が1つの調和を得て形がまとまった時に、突然にMAZDA6が復活を果たす可能性は十分にある。ただし現状で開発が進んでいるのは、テスラのようなBEV化による重量&剛性アップによる進化なのかもしれないが・・・。