必然の帰着
「護送船団」な日本メーカー群は、バブルの頃から省エネ技術で世界に名を馳せ、さらに当時の青天井の研究開発費を惜しみなくつぎ込んで先行開発してきたおかげで、信頼性の高いハイブリッド技術を完成させている。アメリカ市場への「占領政策」も80年代から一気に進み、アメリカ、ドイツのメーカーを押しのけて圧倒的なシェアを獲得するに至っている。北米に軸足があるので2021年になっても自然吸気エンジンの新規開発が可能だ。これらの幸運が重なって現在の日本メーカー群は、「エンジン開発クラスター」状態となっている。1000万円超の価格帯ならばポルシェのスポーツカーや、メルセデス、BMWにも魅力的なエンジンがあるけども、1000万円以下のゾーンではエンジンでどう頑張っても勝ち目は無さそうだ。仕方なくメルセデスもBMWも新型EVの価格を抑えて応戦しようとしている。
「プレミアム」は日本に合わない!?
ドイツメーカーが意図的に二極化したクルマ作りをするのに対して、日本メーカーは階級意識を生まない「中流」なクルマ作りを堅持している。この構図が日本車の安定市場を生んでいる。ちょっと安易な決めつけかもしれないが、2005年にレクサスが日本に導入されて、ちょっとギスギスしたものが日本市場を覆うようになった。サラリーマンでもなんとか買えるくらいの価格に設定されていたセルシオや、スポーティな性能を求めるユーザーの間でアリストやアルテッツァが話題になっていたからこそ、スカイライン、アコード、アテンザ、レガシィ、WRX、ランエボなどが乱立する豊かな市場があった。そこに「プレミアム」という抽象的なマーケティングに加わり、ユーザーに対する偏見が醸造されやすくなった感がある。性能ではなくブランド名でクルマを選ぶ風潮もクルマ選びの楽しさを奪いつつある。まあリーマンショック以降はその「プレミアム」もかなり雲行きが怪しくなってはいるが・・・。