正直者のジレンマ
極めて合理的でヘルシーな結論ありきの正直レビューが持ち味の国沢さんが、スマホ、テレビ、トヨタ車などについて書くならば、とても優秀な評論家として幅広い支持を受けると思う。残念なことに、かなりの頻度の投稿で「MAZDAはバカが買うクルマだ!!」みたいなことを正直に書いてしまうことで、SNS上のヒール役に成り下がってしまっている。
世の中には新車しか乗れない潔癖症で、ホンダ、日産、スバル、三菱は割高だからMAZDAを買うという人もいるわけだ。そしてMAZDAの代わりがいない。パドルレスな安価なトヨタ車でエンブレがかからず下り坂で暴走したくない。先日もヴォクシーが下り坂の先で標識に突っ込んでいる事故を見かけた(警視庁青梅警察署管内)。小型車しかないスズキだと高規格道路で挟まれたらひとたまりもない。
2000年以降のクルマがつまらないと言われる理由
ミドルSUVはエネルギー効率が悪いことは誰の目にも明らかだ。非効率な設計は浪費を嫌う日本人の気質には合致しない。1997年に登場したトヨタ・ハリアーは、北米ですでに展開されていたレクサスRXとして開発された。2005年のレクサス日本上陸までの期間に、ハリアー、セルシオ、アリストなどのレクサス向け車両の登場で、一億総中流の日本社会を象徴するクラウン、マークⅡ、コロナ、カローラのヒエラルキーを破壊した。
高度経済成長期には高級品だったクルマが、バブル期には多くの人に手が届く存在になったが、コモディティ化を避けるという経営上の判断で高額モデルへとシフトした。その結果としてハリアーやセルシオを王様気分で乗り回す新人類に眉を潜めたくなる気分はわからないでもない。日産もGT-Rやシーマで張り合った。国沢さん世代が大多数である自動車評論家にとって、SUV、ビッグサルーン、スーパースポーツは非常識に「愚か」な選択なのだろう。