R35GT-R否定論
MAZDAのクルマ作りはあらゆる面で理にかなっている。ハイエンドで圧倒的な加速を誇るクルマこそが正義だという主張も理解できるが、パワーを使わずに説得力があるクルマを作るという意味では、MAZDAは世界の頂点にあると言っても過言ではない。ちょっと考えればわかることだが、パワーを上げて、クルマを軽く設計することで、タイヤとトラクションの限界まで加速性能を上げることは可能だが、それはもはや素人ドライバーが公道で扱えるマシンではない。
最終型ランエボや、R35GT-Rが登場してから、もう20年が経過する。三菱と日産による理詰めの最速マシン計画の集大成と言える2台が、世界の総合自動車メーカーの経営マインドを大きく変えてしまった。今では新規スポーツカーの開発は、フェラーリやポルシェなどパトロン的顧客を抱える専門ブランドの専売特許になりつつある。GR86とBRZのように2012年になってから新規モデルのスポーツカーとして登場した例(他にアルピーヌA110、アルファロメオ4Cなど)もあるが、トヨタとスバルの中でこのクルマの立ち位置はど真ん中ではない。
GR86とロードスターの違い
GR86(BRZ)は、若者に手頃な価格でモータースポーツを楽しんでもらうことを主眼に開発された。しかし実際には40代から60代の購入者が圧倒的に多かったようで、「孤独なおっさん御用達」という有り難くないイメージが付いてしまった。MAZDAロードスターもオッサンユーザーの割合は同じくらい多いが、利便性の全てを捨て去った2シーターオープンの割り切った設計は、エキセントリックで余裕があるオーナーのセカンドカーとしてのイメージが強い。
実際のところ1台保有で済ますならGR86、2台持ち可能もしくは都市部在住ならばロードスターという棲み分けができている。イオンやドンキの駐車場に何台も停まっているのがGR86で、コメダ珈琲店やラーメン屋の駐車場でよく見かけるのがロードスターだ。スポーツカーという同じジャンルに属していながら、実用性重視で所帯じみたGR86と、スピリチュアルな休日を楽しむロードスターは、全く違う嗜好のユーザー層で大きく分断されている。
