90年代にスポーツカーは消えた・・・
頭文字Dの中でもランエボやスカイラインGT-Rは、スポーツカー文化そのものを破壊する「行き過ぎた」存在として描かれていた。エンジンのスポーツカーで全てをやり尽くしてしまった三菱や日産は、次のステージへ進むべく世界的にも早いタイミングで量産型BEVを発売した。エボX、R35は、NCロードスターはもちろん997型991よりも圧倒的な加速を見せた。三菱や日産の経営も、MAZDAやポルシェから見たら異次元のスピード感があった。
「AWDターボ以外はクルマに非ず」とかいう漫画の名セリフが時代の空気を伝えている。1989年にR32GT-Rが、1992年に初代ランエボが登場したが、当時のフェラーリの主力マシンはV8ミッドシップの348で、バブル絶頂期の日本でよく売れたようで、フェラーリといえば348のデザインが浮かぶ人は多いと思う。1465kgの車重を、最高出力320ps / 7000rpm(最大トルク31.4kgm)で引っ張るスペックは、駆動方式や最大トルクを考えるとノーマルのエボ1、R32に歯が立たない。エンジン回転もホンダのVテックに見劣りする。
軍拡競争が勃発
日本メーカーの攻勢に対して、ドイツやイタリアの技術者魂に火がついて、BMW、アウディ、アルファロメオではVテックを上回る高回転エンジンが次々と生まれた。戦前から航空機エンジン(10000rpm超えは当たり前)を作っていたのだからバイク屋のホンダくらい軽く撚れる。しかし当事者たちも過当競走とわかっていながら商品価値の追求をやめられなかった。
レクサスLFA、幻の2代目NSX、BMW・M5(E60)、アウディR8はV10自然吸気へと進んだ。航空機のようなエキゾーストが価値を生み出しセレブのアクセサリーへと立ち位置が変わった。NCロードスターと997型991は「乗るためのスポーツカー」として、コンサバな進化を歩んだ。MAZDAもポルシェもV10のスーパースポーツに興味など抱かなかった。シビックtypeRも「乗る文化」を象徴するシリーズではあるが、ホンダは技術を見せるためのスーパーカーを企画したり、S2000を残さなかったりでブランドの方向性がバラバラだ。