コストカッターの正義
この当時を知る日産ファンからしてみたら、今の日産はやはり物足りないかも知れない。日産系の開発グループとプリンス系の開発グループがしのぎを削って全く違う設計の高性能車が並立していて、どちらも当時の水準ではスーパースポーツといえる存在だった。こんな自動車メーカーは過去にも現在にも見当たらない(1つだけあるけど)。そりゃ大赤字になるのも頷ける。カルロス=ゴーンが就任した直後の日産の開発部門の縦割りぶりに、「コストカッター」はただただ「呆れるしか無かった」と色々なビジネス本に書かれていた。エクストレイルだけに使う「渡河」機能の存在理由をカルロス=ゴーンが「これをユーザーはいつ使うの!?」と開発者に訪ねたところ、「オンリーワンの高性能だからユーザーが買ってくれる」と言い放ったとか。これを笑い話にしてしまうなら、フェアレディZもGT-Rも要らない・・・。
シャシー統合の結果・・・
日産本体が手がけるフェアレディZをブランドの看板にしたいのはヤマヤマだけど、国内市場にファンが多いスカイラインを販売すれば、フェアレディZの販売が伸び悩む。1989年とはまるで市場が変わってしまった。当時は280ps規制で同等のスペックだったフェアレディZとスカイラインGT-Rだけども、今ではR35GT-Rが日産の象徴として10年以上君臨している。それに対してフェアレディZは2002年のZ33の時にV35スカイライン(GT-Rのベース車)のシャシーを改良して設計され、カルロス=ゴーンの一撃であっさりとハイレベルな「二頭体制」が解体され、ごくごくありふれたブランド(ポルシェやジャガーなど)と同じ匂いになってきた・・・。