日本メーカーの偏向
MAZDA(フォード、ボルボ、ジャガー、ランドローバー、キア、第一汽車)、三菱(メルセデス、ヒュンダイ、クライスラー、ジープ、フィアット、アルファロメオ、吉利汽車、プロトン、CMC)、ホンダ(ローバー、MINI、BMW)、スズキ(GM、オペル、VW)の技術提携によって、世界中の自動車メーカーの技術力は底上げされ、相対的に日本メーカーのアドバンテージが失われた。バブル崩壊後の2000年以降は、新しい優位性を求めるため、日本メーカーはエコカーとスポーツカーでブランディングを行うケースが増えた。
トヨタのTHSにしろ、MAZDAのディーゼルにしろ、世界のどのメーカーよりもエコなドライブユニットであるし、86やロードスターをコスパまで真似できる総合自動車メーカーは世界にはほとんどないと言っていい。エコカーもスポーツカーも世界に向けて日本の自動車産業の存在感を十分に発揮する技術ではあるけど、さすがにちょっとマニアックじゃないか!?という気がしないでもない。
クルマの本質
ユーザーの側もクルマを評価する軸が偏っていたかもしれない。あまりに驚異的でガソリン代だけ計算して思考停止になって買ってしまうくらいの「モード燃費」や、ジャンプ台があれば楽々と空を飛びそうな「パワーウエイトレシオ」、そしてごくごくリーズナブルなデフレマインド全開の「価格」、これらの「数値」だけを見てクルマの優劣を語っていた部分が少なからずある。
しかし「このクルマを買ってよかったな・・・」としみじみ感じる時に、燃費やパワーウエイトレシオは正直言ってどうでもいい数値である。極端なエコカーと極端なスポーツカーを否定するつもりはないけど、それだけでは到底辿り着けない領域がある。「エコカー性能orスポーツカー性能」を武器にせずに、乗り心地や操作における「動的&静的な質感」で勝負できる、本質的に手の込んだクルマが、日本メーカーのラインナップから次々と消えていた。