日本メーカーが真似できない設計
カングーはボデータイプとしては、ソリオやルーミーと同じ2列シートのスライドドア車だ。シャシーやエンジンはCセグメント級のものが使われている。トヨタに例えるとノア、ヴォクシーを2列化して全長を4495mmまで切り詰めたボデーに、1.5Lディーゼルと7速DSTを組み込んだ、刺さる人には刺さる設計になっている。車重はディーゼルモデルで1650kgでミドルSUVのエンジン車と同等だ。この絶妙な車重がトラクションに効いているかもしれない。
なんでカングーのようなモデルが日本メーカーにはほとんどないのか。街乗り主体のユーザーが多いミニバンにディーゼルを積んだら、短距離利用に耐えられずにエンジン故障による新車保証が殺到して立ち行かないと試算されているのだろう。ディーゼルミニバンとしては三菱デリカD5という変態ユーザー向けモデルがロングヒットしているが、これを2列の小型ボデーにして、さらにDCTを組み合わせる設計は役員会で一蹴されるのだろう。
レスポンスの問題
ディーゼルのトルクを受け止めるため、MAZDA、三菱、メルセデス、BMWはトルコンATを組み合わせる。これがディーゼルの常道に思われるが、欧州メーカーではカングーだけでなく、VW(ゴルフ、ゴルフヴァリアント、Tロック、パサート、ティグアン)、アウディ(A5アバント、Q5、Q2)、MINI(カントリーマン)、BMW(2シリーズアクティブツアラー、X1、X2)など多くのモデルでディーゼル&DCTが使われている。理論上、これらのモデルがカングーと同等のダウンヒル性能を発揮すると思われる。
そういえば、前日に走った長野県随一の観光道路ビーナスラインでは、MAZDAのCX-60が気持ち良さそうに走っていた。トルコンレスの8ATは強烈なモード燃費を叩き出すための秘密兵器と思われたが、実は欧州のディーゼル&DCTに負けないドライブフィールを生み出すための工夫なのかもしれない。先代CX-5の2.2Lディーゼルは強烈な推進力がクセになるが、峠でのアクセルオンを想定するとワンテンポ遅れてトルクが立ち上がる感じが否めない。
