峠マシンの進化
ロックアップするATを意図的にトルコンレスにすれば、擬似的なDCTとなる。直結でトルクが息切れせず安定して出るクルマは、登坂路での走りが痛快だ。1.5L自然吸気の15MBでも、加速重視でエンブレが強烈にかかる2速、3速を使っての登りは想像を超える楽しさだ。車重1100kgの軽量設計のおかげもあるが、今回もビーナスライン、湯の丸、万座ハイウェイ、渋峠での登りがとても痛快だった。
先代CX-5は登坂路が苦手だ。MAZDAもガソリンNAのトルクの弱さを補うべくスポーツモードを装備している。車重1600kgを超えるミドルSUVだと、スポーツモードを使わずに10%超の勾配が続出する奥多摩や秩父などの急峻な峠を登るのは、あまりに推進力が乏しくてとても耐えられない。この2代目CX-5の初期モデルにはディーゼル&6MTがあったが、後期モデルからMTが廃止され、代わりにパドルシフトが採用されるようになった。
メーカーはいろいろ考えている
ディーゼルターボより明確にレスポンスがいいガソリンNAにスポーツモードとパドルシフトを組み合わせることで、街乗り、高速道路、登坂路をこなすオールラウンダーとしたが、ディーゼルより燃費の恩恵は薄れた。ディーゼル復権とモード燃費改善を目論んでトルコンレスでDCT効果を狙ったCX-60が登場し、街乗りには短距離利用不可の制限がかかるが長距離ユーザーが熱望する圧倒的な燃費改善で支持を得ている。
ビーナスラインでほとんどブレーキランプを点灯させずにハイペースで走るCX-60は、MAZDAが目指した1つの理想を体現していた。直6ディーゼル、MHEV、トルコンレスAT、パドルシフトで武装したスポーツSUVはボトムグレードでも乗り出し600万円コースになる。一方でディーゼル&DCTの欧州勢は新車価格でそれを下回ってくるモデルが複数ある。カングーのディーゼルは乗り出し500万円で済む。車重もCX-60のディーゼルMHEVより300kgも軽い。実際に乗ってみないとわからないこともあるが、現行の輸入車では非常に高い商品力がありそうだ。